北海道

第1章 計画策定の意義

第1節 北海道開発の経緯

(北海道開発の歴史)
 我が国は、北海道の豊富な資源や広大な国土を利用し、国全体の安定と発展に寄与することを目的として、明治2年の開拓使設置以降、特別な開発政策の下、計画的に北海道開発を進めてきた。特に、北海道開発法(昭和25年法律第126号)の制定後は、同法に基づきこれまで6期にわたり北海道総合開発計画を策定し、我が国経済の復興や食料の増産、人口や産業の適正配置など、その時々の国の課題の解決に寄与することを目的に、積極的な開発を行ってきた。
 この結果、明治2年に約5万8千人だった人口は、1世紀余りの開発の歴史の中で五百数十万人に達し、道内総生産は約20兆円となるなど、今日の北海道は、フィンランド、アイルランドなど欧州の一国に相当する規模の地域経済社会を形成するに至っている。また、食料の供給や観光・保養の主要な拠点として我が国全体の安定と発展に大きく寄与する地域となっている。
 
(第6期北海道総合開発計画の経緯)
 1990年代後半の北海道においては、農林水産業、鉄鋼業などの基幹産業が低迷し、これに代わる産業の成長が遅れていたことに加え、金融機関の破綻等により地域経済が動揺し、経済の体質改善と重点的・効率的な基盤整備が喫緊の課題となっていた。このような状況の下で、北海道における産業振興、社会資本整備等を総合的に展開するための指針と施策の内容を示す第6期北海道総合開発計画を平成10年4月に閣議決定し、おおむね平成19年度までを計画期間として施策を推進してきた。
 当該計画期間中には、産学官の連携により進められた「北海道産業クラスター創造プロジェクト」が実績を上げるとともに、東アジア地域からの観光客やオーストラリアからのスキー客など、来道外国人観光客が3倍以上に増加するといった成果が見られた。これらは、北海道の成功事例と呼べる新たな成長の芽である。
 平成9年度にマイナス成長に転じた道内総生産は、経済対策による下支え等もあって、計画期間中に次第に持ち直した。ただし、その回復の動きは全国に比べ弱く、雇用情勢については、他地域と比べ長く低迷が続いている。人口も、平成9年の570万人を頂点に減少に転じ、全国よりも少子高齢化が進行するなど、厳しい状況が続いている。さらに、産炭地などかつてその存立の基盤となっていた産業を失った地域における新たな地域づくりの課題も顕在化している。
 また、計画に基づく施策の推進に当たっては、関係者の連携・協働による事業効果の一層の発揮、重点化・効率化や、北海道の実情に即した先駆的・実験的取組の拡充が課題となっている。

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